顎関節症
あごの関節(顎関節)周辺に何らかの異常がある「あごが痛い」「あごが鳴る」「口が開けづらい」などが主な症状である慢性的な疾患で、原因はいくつかあり状態も異なりますがまとめて顎関節症と呼ばれます。
「硬いものを食べたらあごが痛くなったがしばらくしたら治った」という程度の軽い症状を含めると日本人の二人に一人は何らかのあごの異常の経験があるのではないかとも言われます。このように放っておいても自然に治るものもあり、必ず悪化していくという疾患ではありません。患部を安静にする、問題のある生活習慣を改善する、薬を服用するなどの治療で80%の人はよくなっているそうです。
しかし、重症になると手術が必要となったり、症状もめまいや痛みなど全身に及び、開口障害により食事の摂取が困難になったり精神的にも影響を受けるなど、日常生活に支障をきたすほどの症状に苦しむ患者様もいます。
顎関節症の主な症状は5つあります。これらの症状がひとつ、もしくはいくつか重なって現れます。
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あごが痛む
顎関節および周辺の頬やこめかみが痛みます。口の開け閉め、食べ物を噛むときなど、あごを動かした時に痛むのが特徴です。あごの動きに関係なく痛む場合は他の病気の可能性もあります。
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口が大きく開けられない
正常な人は縦に指三本分(40~50㎜)入りますが、指が2本程度(30mm)もしくはそれ以下しか入らない場合がこれです。あごを動かすと痛むので無意識に動きを抑えてしまっている場合と、顎関節の異常で口が大きく開けられない場合とがあります。いきなり口が開かなくなる場合も、徐々に開きづらくなっていく場合もあります。
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あごを動かすと音がする
あごを動かしたときに耳の前あたりで「カクカク」音がします。「ジャリジャリ」「ミシミシ」といった音の場合もあります。症状が音だけの場合は顎関節症予備軍と言えますが治療は必要ないと思われます。
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かみ合わせに違和感がある
あごの関節や筋肉に問題があると、あごの動きに変化が生じて噛み合わせが変わることがあります。急に噛み合わせが変わったように感じるときは顎関節症の疑いがあります。
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口を完全に閉じることができない
非常に稀ですが、あごの関節内の構造の異常のため上下の歯列の間に隙間ができて、口が完全に閉じられなくなる場合があります。
就寝中の歯軋りや食いしばりは精神的なストレスや噛み合わせ異常などの口腔環境のストレスから起こりますが、歯や顎に加わる力は食事の時の2倍にもなる大きな負担です。
スプリント療法は就寝中にマウスピースを装着することで、顎関節の変化を起こして歯軋りや食いしばりを改善したり、歯軋りや食いしばりの負担を分散・軽減することで顎関節症の症状を軽減する治療です。マウスピースは顎関節症の症状や改善目的に合わせて必要な時にその都度製作します。
前歯のみが接触するマウスピースです。 開口反射を誘発させ、口を開く筋肉の活性化と口を閉じる筋肉の緊張を緩和する効果が期待できます。
上下の全歯列を均等に接触させるためのマウスピースです。 咬合接触の異常や噛み合わせ異常の問題をマウスピースが吸収することで、一部の歯の過度な接触がなくなり下顎の安定が得られます。神経筋機構が円滑になるため咀嚼筋などの筋肉の緊張が解け、顎関節症の症状を緩和します。
上顎または下顎の全歯列に装着するマウスピースです。 関節円板が前方に転移し、顎関節に異音がある場合に症状の緩和を目的に装着します。
奥歯のみが接触(咬み合う)する上顎または下顎の全歯列に装着するマウスピースです。 顎関節の疼痛による開口障害を改善する場合などに装着します。